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幸せを運ぶ先祖供養

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第1章 先祖供養とお墓の関係
無縁墓が増える現代社会がもたらすもの
 無縁墓(むえんばか)とは、供養する者がいなくなり、荒れたまま放置されているお墓のことです。お墓参りに行った折などに、近くをながめていると、よく手入れされ、植え込みなども美しく整備された墓地の一画に苔むし、周辺は雑草に覆われ、ときには半ば倒れかけているようなお墓が目に入るでしょう。このようなお墓を目にしたら、ためしに耳をすましてみてください。
 「あなた方は子孫にそうして供養をしてもらえていいなぁ。わしらは、子孫が絶えてしまってもう供養してくれるものがおらん」
 こんな声が聞こえるような気がするはずです。
 無縁墓は、また、よそのお墓にも迷惑をかけることになります。雑草の種が風に乗って近くに根を下ろし、他のお墓の周りにはびこるし、枯れ草や枯れた苔などが飛び散って、よそのお墓にこびりついたりします。つまり、無縁墓は、荒廃を周辺に撒き散らすことになるのです。
各霊園には管理人がいて、通路や広場、緑地の整備はしますが、個人のお墓まで手入れはしません。お墓はそれぞれの家で管理し、手入れすべきものだからです。
無縁墓の叫び
 仮にお金を出して、管理人、もしくは墓地管理の専門業者にきれいにしてもらったところで、それは外見だけの整備にとどまり、供養したことにはなりません。
 お墓の手入れをするということは、子孫がご先祖様と心を交し合い、そのご加護を願うということにほかならないからです。ですから他人まかせにしていくらきれいにしても、本人がまったくお参りしなければそれは無縁墓にしているのと変わらないことになります。
 核家族化が進み、先祖供養をしない人が増えると、幾世代にわたるご先祖様とのつながりは完全に切れてしまい、お墓を通して子孫に与えられていたご加護というものが一切途絶えてしまうことになってしまうのです。
 この結果、肉親を慈しむ心が弱まり、わが子の命を奪ったり、自分の生を授けてくれた親を弑(しい)するといった惨劇につながることが多くなります。こうした極端なことにならないまでも、家族の中で憎み合い、心を傷つけ合うといった例は枚挙に暇(いとま)がありません。
 お話ししてきたように、この原因の根本はお墓や先祖供養をなおざりにする心から発しているものです。ですから、反対にお墓を大事にし、ご先祖様の供養を続け、つながりを保つことによって、このご加護は途切れることなく子々孫々の繁栄を得ることができるのです。
無縁墓
無縁墓
誰も供養する人のいなくなった墓をいう。「無縁墓」「無縁塚」「義塚」などともいう。無縁墓とみなされる条件はそれぞれ墓地の管理規則で決められている。たとえば、3年以上誰も墓参りにいかなかったり管理料を支払わないと無縁墓として扱われるので注意しよう。

家庭内暴力の実態
最近の統計で見ると、家庭内暴力のほこ先は、圧倒的に母子家庭の母親に向う傾向が強い。昨年の青年白書によると実に61・8%が母親に、10・1%が父親、5・6%が兄弟となっている。
浄行
文字通り清い行いのことで、無縁墓の掃除や慰霊塔の建立の協力、放生会などを行い、正しい先祖供養と人々の生活のためになることをすること。