京都紫野のさるお寺の墓のお話です。
 墓の周囲に高塀のように多くの木が植えてありましたが、その木がところどころ枯れていたので、歯抜けのようになっていました。
「あなたの家は高い塀の一角がつぶれて、人が入りやすいような形になっていますから、大泥棒が入りますよ」と申しますとびっくりしたように、
「そうなんです、以前集団強盗が入りました。 入ったのはわかりましたが、恐ろしいので眠ったふりをしていたら、娘の嫁入り衣裳を蔵から全部盗まれました」とのことでした。
お墓の玉垣がつぶれていたり、墓石の前に踏み台のようなものが置いてある家は、泥棒に入られます。
 また石碑は、下台石を不動産、上台石を動産に、棹石を人間の身体と見ていきます。
棹石が上台石の上に正しく乗っていない家は、人に金を貸しても返してもらえない家になります。
 動産の上に人が正常な位置で乗っていないからなのです。墓地の中に余分な踏み台のような形の石が置いてありますと、店の者に金を使い込まれたりします。いつでも入られる形だからです。
 万象すべて相に支配されるのです。



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