草鞋を履いていた時代ならいざ知らず、現在のように急速に発展していく時代に失敗したら最後だと思います。
 旅客機が着陸に失敗して墜落したとき、パイロットが「失敗は成功のもとだ」と言っても取り返しはつきませんし、自動車の運転手が事故を起こして人を死亡させても、その人は生き返りません。墓石を建てられる時も同じです。失敗は必ず不幸を呼びます。
 人間にとって、生まれるということは死ぬということです。無縁になった墓を除けてまた新しい墓を建てるということは、無縁になりにいったことと同じです。墓を建てるということは、無縁になりにいったことと同じです。墓を建てるには、新しい土地で新しい運命を開かれるのが一番よいことです。墓地の選定は大切なことです。
 以前に鳥取市で墓を建てたことがあります。
市中の墓地ですが、あまりにも荒れ果てた土地で無縁の石碑がごろごろしており、鬼気迫るような墓地でした。墓地の整地は、地元でやれば安くできるというので、施主の方が土地の方を頼んでされました。墓を建てるために私が行ったときには、縦七尺横八尺の大きさの墓地が整地され、きれいな赤土が入っていました。石を京都から運び、延石を据え墓を建てて帰りました。
 それから一カ月後、その家の四歳の女の子が急死したのです。墓の祀り方、建て方にも間違いがないのに起こった「変事」なのです。原因がわかりません。知らせが来ると、すぐさま師匠のお弟子に現地へ行ってもらいました。
 整地された墓地の周りに無縁のあまりにも多くの石碑が転がっていました。お弟子は、「必ず墓地の下に無縁の石碑が入っているだろう」と思われて墓地内を掘られたところ、「げんのう」で割られた無縁の石碑が三体出てきたのです。整地する際に行われていたのです。
お弟子から連絡を受け、これは恐ろしいことだと思いました。
 お墓を「げんのう」で割り地中に埋めて「整地」した土地の方の家にも何か変事があるだろうと、師匠のお弟子はすぐにその家に行かれました。すると、家の人が震えておられたそうです。お手伝いをされたご本人が、精神に異常をきたしてしまったのです。
 そのような場所に建てたこと、また施主の方がどうしてもその場所に建てて欲しいと言われたことが、失敗だったのです。さっそく新しい墓地を求められて墓を新しく建てられ、現在は機嫌よく暮らされており、地蔵流しには毎度京都にお見えになります。
 新しく墓を建てられる場合は少々遠くても、また便利が悪くても、よい墓地を選定されるように徳風会の指導を受けられることをお勧めいたします。
 悲しい出来事でしたが、悪い面が事実となって現れたのです。


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